リョーユウ工業株式会社
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アルミ加工の見積もりガイド|若手設計者が知っておきたい発注の基本

アルミ加工
#見積もり#アルミ加工

「アルミ加工特有の注意点が知りたい」
「アルミ加工って高いの?」

経験のまだ浅い若手設計者にとって、アルミ加工特有のポイント相場感をつかむのは中々難しいものですよね。
見積もりを依頼するだけでも、不安に感じることもあるのではないでしょうか。

アルミは加工が極端に難しい材料ではありませんが、鋼材加工とは違い、注意すべき点がいくつかあるのも事実です。
基本的な違いを抑えておけば、今後の設計指針に大いに役立つと思います。

この記事では、そんなアルミの基本から加工の注意点までわかりやすく解説していきます。
基本が詰まっているので、ぜひ最後まで読んでいってください。

アルミ加工のご相談はぜひリョーユウ工業まで!
>>「ご相談・お見積り」

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アルミニウムの性質

アルミは軽量で耐食性が高く、加工がしやすい材料です。
建築、電化製品、自動車、航空機、精密機器など、あらゆる産業分野で使用されています。

まず、アルミと鋼鉄の特性の違いを比較してみましょう。

材料 アルミニウム合金(A5052) 鋼鉄(S45C)
比重 2.7 g/cm3 7.8 g/cm3
引張強さ 210-260 MPa 570-690 MPa
耐食性 良い(錆びにくい) 悪い(錆びやすい)
加工性 良い 良い
溶接性 悪い 良い
熱処理 不可 可(焼入れ・焼戻し)
熱伝導率 高い 低い
価格 高い 安い
主な用途 フレーム、サッシ、外観部品 etc 建築材、船舶、自動車、ボルト etc

 

アルミの特徴はなんと言っても「軽い」「錆びない」点です。
(白錆は発生しますが、赤錆のような「劣化」は起きません)
さらに「表面が美しい」という特徴から、看板のフレームや、電化製品の顔となる部品などに多く使用されています。

 

アルミの中でも頻繁に使用される材料が「A5052」と「A1050」と呼ばれるアルミニウム合金です。

次に、アルミニウム合金の主役、A5052とA1050の特徴を比較してみましょう。

 

材料 アルミニウム合金(A5052) アルミニウム合金(A1050)
アルミの純度 95%以上 99.5%以上
主な合金元素 マグネシウム、クロム etc ほぼ無し(微量のFe, Si)
引張強さ 210-260 MPa 60-100 MPa
加工性 良い 非常に良い
熱伝導率 高い 非常に高い
価格 高い 普通
主な用途 フレーム、サッシ、外観部品 etc 反射板、放熱部品、化学装置 etc

 

A5052はアルミの中でも、耐食性、加工性に優れたバランス型の材料であるため、薄板の板金加工に重宝されています。
一方、A1050は純粋なアルミニウムに近く、耐食性の高さ熱伝導率の高さなど、アルミ本来の特徴を発揮します。

例えば
・「放熱」+「部品保持」という複数の役割を持たせたい場合はA5052
・「放熱」という役割に特化したい場合はA1050、という使い分けをするのが一般的です。

アルミについてさらに詳しく知りたい方はこちらが参考になります
>>「アルミ加工

 

 

アルミ加工の種類

アルミ加工の代表的な加工方法は以下の通りです。

加工方法 内容 アルミ加工の注意点
切断・曲げ加工 金型ブレーキプレスレーザーなどで板材を切断したり、曲げる加工 バリが出やすい、シワになりやすい、レーザー加工の難易度が高い
切削加工 旋盤フライス盤マシニングセンタを使用して材料を削り出す加工

切りくずが工具に固着しやすい、表面が荒れやすい

溶接加工 TIG溶接MIG溶接によって部材同士を接合する加工 熱が発散するため、難易度が高い
表面処理 アルマイト処理バフ研磨によって表面に化学的、物理的処理をする加工 表面が荒れやすく、塗装、メッキは注意が必要

 

アルミは加工性に優れた材料ですが、鋼材にはない注意点がいくつかあります。

 

切断・曲げ加工

アルミは柔らかく変形しやすいため、曲げ時に潰れやシワが出やすく、傷もつきやすい傾向があります。
スプリングバックが少なく、切断時はバリが出やすいため注意が必要です。

 

切削加工

アルミは粘りがあり切りくずが詰まりやすく、工具に固着しやすいという欠点があります。
熱膨張しやすいため、寸法精度が必要な場合には注意が必要です。

 

溶接加工

アルミは熱伝導率が高いため、溶接部の温度が上がりにくく、アークが安定しにくいという欠点があります。
そのため、鉄と同じ条件ではうまく溶接できず、高出力の溶接機を使用することが一般的です。
母材をあらかじめ加熱しておく「前加熱」を行うなど、アークの安定性向上の対策が必要です。

 

表面処理

アルミは塗装やメッキの密着性が低いため、前処理として脱脂やエッチング、化成処理が必要です。
表面状態により、仕上がりにムラが出やすい点にも注意が必要です。

 

このようにアルミ加工は注意すべき点が数多くあります。
しかし、経験のある業者で適切に対策すれば、問題なく加工できる材料でもあるのです。

アルミ加工は、実績50年のリョーユウ工業にお任せください!

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アルミ加工の見積もりの内訳を知る

材料費

材料費は、使用するアルミ材の種類、サイズや板厚、発注数量によって変わります。

材料   流通量の多いA5052A1050などは比較的安価です(鋼材よりは高価)
サイズ   切り出す前の原板はサイズが決まっています。
  取り数が悪くなると(ロスが多くなると)高価になります
板厚

  薄板や流通量の多い板厚材料は安価です
  極薄や極厚のアルミ材は割高になることがあります

数量   まとめ発注により材料費を抑えられます

 

加工費

アルミ加工は鉄加工に比べ、加工費が高くなる傾向にあります。

レーザー加工

アルミは熱反射率が高く、レーザーがうまく吸収されにくいため、高出力・専用のレーザー装置が必要です。
加工速度も遅くなるため、鉄やステンレスに比べてレーザー加工費は高くなるケースが多くなります。

溶接加工

アルミは熱伝導率が高くアークが安定しにくいため、高出力の設備が必要になります。
色ムラや歪みが出やすいので、見た目や精度が求められる部品では追加加工費が発生することもあります。

 

人件費

人件費は作業にかかる時間と作業者の時間単価によって決まります。

溶接の範囲が広い場合、厚板の場合は、作業時間が増加するため人件費が上がります。
アルミ加工には高度な技術が求められるため、時間単価が上がり、人件費も高くなる傾向にあります。

 

 

アルミ加工の見積もりの流れ

1| 図面・仕様書の準備

アルミ加工では、材料や加工方法に応じて見積もり金額が変わります。
見積もりを依頼する前に、まずは部品のサイズ・形状・材質(アルミの種類)・必要な精度などを記載した図面や仕様書を準備しましょう。

CADデータがあると、業者側が部品形状や寸法を正確に把握でき、見積もりの精度が高まります。
アルミは熱や加工時の歪みによる影響で加工精度に差が出やすい材料なので、重要な寸法や必要な精度は正確に指示する必要があります。

とはいえ、慣れないうちは完璧な図面である必要はなく、分かる範囲でまとめるだけでも十分です。
気負わず、まずは業者と相談する姿勢で準備を進めると良いでしょう。

 

2|見積もり依頼(複数社)

見積もりは、メールやWebフォームを利用して業者に依頼しましょう。
その際は、必要数量・希望納期・希望予算といった条件も忘れずに伝えます。

また、部品の使用目的注意してほしい点なども一緒に伝えておくと、トラブル防止に役立ちます。
これらの情報は、図面や仕様書の備考欄などに書き込んでも構いません。

後から「伝えた・伝えていない」の行き違いを防ぐためにも、事前の情報共有はできるだけ文書で残すのがおすすめです。

 

3|打ち合わせ(必要な場合)

アルミ加工は鉄加工よりも注意すべき点が多く、高度な技術が必要であることを本記事でも解説しました。
図面や仕様書だけではわからない点や、加工に伴う懸念事項がある場合は、業者から確認の連絡がある場合があります。

経験が豊富で優良な業者であれば、トラブルを未然に防ぐための改善提案をもらうこともあります。
部品の設計意図や使用用途など、些細なことでも情報を共有しながら進めていくと良いでしょう。

 

4|見積もりの比較

加工業者から見積もりが来たら、明細を比較・検討しましょう。

<チェックポイント>
バリや傷に対する対策が取られているか
適切な溶接機を使用しているか(出力不足による溶接欠陥に繋がらないか)
熱変形や加工歪に対して対策は取られているか
・その他、極端に高い、安い項目がないか
・打ち合わせや問い合わせのレスポンス、応対はスムーズだったか

アルミ加工は鉄加工に比べ、懸念事項の多い加工でもあります。

業者選定においては
・アルミ特有の課題に対して、しっかり対策が取られているか
・対策が取れない場合はリスクを事前に伝えられているか

こうした配慮がされているかが、業者選定のポイントになります。

 

5|発注

条件が合えば正式に発注を行いましょう。

発注後は最低でも1回は業者と進捗確認を行い、コミュニケーションを取ると良いと思います。
関係構築をしておくと、納品まで、さらには次回以降の仕事がスムーズに進むためです。

 

まとめ

アルミ加工には特有の注意点が多くあります。

適正価格を見極めるためには、見積もりの内訳を理解し、業者とのやり取りを丁寧に行うことが重要です。
コストダウンを目指すなら「そもそも加工が難しいアルミを使わない」「アルミの特性を理解した上で使用する」といった視点も欠かせません。

ご自身の設計でも、ぜひ意識してみてください。

当社ではアルミ加工のことなら何でもご相談を承っております。
お気軽にご相談ください!

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