ステンレス加工を依頼する際、「どの業者を選べばいいの?」「適正な見積もり価格が分からない」と悩むお客様は多いでしょう。金属加工、特にステンレスやアルミ、鉄といった様々な材質の加工品は、その形状やサイズ、厚み、溶接や曲げ加工といった技術によって見積もりが大きく変動します。
この記事では、無料で簡単にWebから見積もりを依頼可能なサービスの利用方法から、最適な業者の見つけ方まで、あなたの製品製作を成功に導くための情報を紹介します。
ステンレスとは
ステンレスは、鉄を主成分にクロムを10.5%以上含む金属で、錆びにくさが特徴の鋼材です。キッチン用品から建築資材、精密部品まで幅広い製品に使用されます。
代表的な種類はSUS304ですが、用途に応じて耐食性や加工性が異なる材質(例:SUS4系等)が選択可能です。板材や丸棒など様々な形状があり、レーザー加工、曲げ加工、溶接、穴あけといった技術で製作され、お客様の希望寸法や厚みに対応できます。
見積もり依頼時には、製品の材質や形状、サイズを明確にすることが重要です。
下記の記事でもステンレスについて解説されていますので紹介します。
ステンレスの加工方法が見積もりに関わる要素
ステンレス加工の見積もりは、選定する加工方法によって大きく変動します。
見積もりが変動する要素は以下の通りです。
- ステンレスの種類による変動
- ステンレス加工の種類
- ステンレス加工が可能な製品サイズと厚み
それでは、どのように見積もりに変動するか見ていきましょう。
①ステンレスの種類による変動
加工業者は材料の調達コスト、加工に必要な設備や工具、作業時間、そして必要な後処理などを積算して見積もりを提示します。そのため、適切なステンレスの種類を選ぶことが、最終的な加工品のコストに大きく影響します。
ステンレスの種類による見積もり変動を見ていきましょう。
材料費 | 特徴 |
オーステナイト系(例: SUS304, SUS316) |
ニッケルを含むため、ニッケル相場によって材料費が大きく変動 一般的にフェライト系(例: SUS430)より高価 |
SUS316 | モリブデンも含むため、オーステナイト系よりさらに高価 |
フェライト系(SUS430) | 標準価格 |
ステンレス加工費による見積もり変動を見ていきましょう。
加工費 | 特徴 |
オーステナイト系(例: SUS304, SUS316) | 加工硬化しやすいため、切削加工では工具の摩耗が激しくなり、工具費や加工時間がかさむことで加工費が上昇する可能性がある |
マルテンサイト系、析出硬化系 | 非常に硬度が高く切削加工が難しい場合があります。特殊な工具が必要になったり、加工に時間がかかったりするため、加工費が高くなります。 |
マルテンサイト系、析出硬化系 | 所望の硬度や特性を得るために焼き入れ・焼き戻しや時効処理といった熱処理が必須となる場合があり、その分のコストが見積もりに追加されます。 |
マルテンサイト系 |
溶接後の特別な処理(予熱、後熱など)が必要になったりすることがあり、溶接費に影響します。 |
SUS303 | 被削性を向上させた種類は、切削加工の効率が良くなるため、その工程の加工費を抑えられる可能性があります。 |
これらの要素を総合的に考慮し、加工業者は材料の調達コスト、加工に必要な設備や工具、作業時間、そして必要な後処理などを積算して見積もりを提示します。
②ステンレス加工の種類
ステンレスの加工方法は、ステンレスの材質(SUS304、SUS4系等)、製品の寸法、厚み、形状、そして依頼するロット数(100個以上など)によって、最適な技術と設備が異なり、それが最終的な見積もり価格に反映されます。
ステンレス加工の種類は以下の通りです。
加工方法 | 内容 |
レーザー加工 | 高出力のレーザーは複雑な形状や様々な厚みのステンレスを精密に切断できます。 |
曲げ加工 | 板材を特定の角度に曲げて立体的な形状を製作する技術 |
溶接 | 複数のステンレス部品を接合する加工 |
穴あけ加工 | ドリルやパンチング、レーザーなどで穴を開ける加工 |
表面仕上げ | 研磨やヘアライン加工、鏡面仕上げなど、製品の見た目や耐食性を向上させる加工 |
③ステンレス加工が可能な製品サイズと厚み
ステンレス加工におけるサイズと厚みは、加工方法や使用する機械設備、そして加工業者の技術力によって大きく異なります。一般的な目安として各加工方法ごとに説明します。
加工方法 | 対応可能な厚み | 対応可能な製品サイズ |
レーザー加工 | 20mm〜25mm程度。0.1mm以下の極薄板も加工可能 | 1500mm x 3000mmが多い。 |
曲げ加工 | 0.3mm~16mm程度 | 4000mm(4m)程度まで対応している業者が多い |
溶接 |
TIG溶接:薄板から9mm程度 ファイバーレーザー溶接:6mm程度 スポット溶接:3.0mm + 3.0mm(合計6mm)程度の組み合わせまで対応 |
大きな筐体や構造物の場合、溶接ロボットや作業スペースの限界がサイズに影響します。
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具体的な加工品がある場合は、複数の加工業者に図面や詳細な仕様を提示し、それぞれの業者の得意分野や設備能力を確認することが最も重要です。
ステンレス加工の見積もり前の準備
ステンレス加工の見積もりを依頼する前には、いくつかの準備が必要です。
見積もり前の準備は以下の通りです。
- 具体的な設計図面を準備する
- 希望する製品の仕様を明確にする
- 金型の有無と試作の必要性
それでは、見積もり前の準備の内容をみていきましょう。
①具体的な設計図面を準備する
ステンレス加工の正確な見積もりを得るには、具体的な設計図面の準備が不可欠です。お客様の頭の中にある製品イメージを、加工業者が理解できる情報として提示しましょう。
重要なのは、加工品の形状、寸法(mm単位で正確に)、板の厚み、穴のサイズと位置、曲げの角度など、全ての情報を網羅することです。不明瞭な点が多いと、見積り価格が高くなったり、後で追加費用が発生する原因になります。
具体的な図面は以下の通りです。
- 理想はCADデータ
- 手書きのスケッチでも可能
- 使用する材質(SUS304など)も明記
②希望する製品の仕様を明確にする
ステンレス加工の見積もりを依頼する際、希望する製品の仕様を明確にすることは非常に重要です。
希望する製品の仕様表記は以下の通りです。
- 使用用途と環境(屋内/屋外、耐食性、強度など)
- 求める品質と仕上げレベル
- 部品点数、ロット数(100個以上など)、納期の提示
③金型の有無と試作の必要性
ステンレス加工の見積もりにおいて、「金型」の有無は価格に大きく影響します。特に複雑な形状の加工品や、大量生産を希望する場合、専用の金型を製作することがあります。
既存の型を利用可能であれば費用は抑えられますが、新規で型を起こすとなると、その製作費が初期コストとして加算され、見積もりが高くなります。
また、製品の設計確認や加工の実現性を評価するために、試作が必要となるケースもあります。試作は、本番製作の前に問題点を発見・修正できるメリットがありますが、別途見積りが発生します。
webでの見積もり依頼時に、これらの点も明確に入力し、質問しておくことが重要です。
Web利用による見積もりの依頼方法のメリット
ステンレス加工の見積もり依頼は、現在Web上での利用が主流です。
Webによる依頼方法とメリットは以下の通りです。
- Webサイトの見積もりから概算価格を把握
- 複数業者への見積もりの依頼が簡単
- Webサイトから質問と確認の問い合わせが簡単
それでは、Webによる依頼のメリットを見ていきましょう。
①Webサイトの見積もりから概算価格を把握
多くの金属加工業者が無料で簡単に見積もりが可能なサービスを提供しています。加工品の形状、材質(SUS304などのステンレス、アルミ、鉄など)、厚み、サイズ、穴あけや曲げ、溶接といった加工方法の希望を入力するだけで、概算価格を把握できます。
下記の記事でも見積もりに関する記事が紹介されています。
②複数業者への見積もりの依頼が簡単
複数のメーカーへ一括で依頼し、比較検討できるのがWeb利用の最大のメリットです。
Webでの見積もりのメリットは以下の通りです。
- 見積りを複数社から取得し比較できる
③Webサイトから質問と確認の問い合わせが簡単
過去の事例紹介や業者の特徴、技術力をwebサイトで確認し、不明点は質問欄で問い合わせましょう。これにより、効率的に最適な業者を見つけられます。
質問と確認は以下の通りです。
- 不明点や疑問点は遠慮なく質問し、明確な回答を得る
- 見積もりに含まれる項目(材料費、加工費、運賃等)の確認
最適なステンレス加工業者を見極めるポイント
最適なステンレス加工業者を見極めるには、いくつかのポイントがあります。
最適なステンレス加工業者を見極める点は以下の通りです。
- 加工品の形状や材質に応じた技術力がある
- ステンレスの加工実績がある
- 納期と対応力を確認する
それでは、最適な加工業者の内容を見ていきましょう。
①加工品の形状や材質に応じた技術力がある
最適なステンレス加工業者を見つけるには、希望する加工品の形状や材質(SUS304、アルミ、鉄など)に合わせた高い技術力が必須です。複雑な曲げや精密な溶接、厚い板への穴あけが可能か、過去の事例紹介やWebの情報で確認しましょう。
技術力があるかの確認ポイントは以下の通りです。
- さまざまな鋼材に対応、特にステンレス加工に特化した技術を持つメーカー
- 難易度の高い変形や複雑な形状の加工が可能
- 鋼材の種類や厚みへの対応範囲
②ステンレスの加工実績がある
ステンレス加工を依頼する際は、過去の実績が豊富な業者を選びましょう。Webサイトの事例紹介で、希望する形状やサイズ、材質(SUS304など)の加工品があるか確認してください。
様々なステンレスの加工を行い、高い技術で製品製作を可能にする特徴が、正確な見積もりと品質に繋がります。
加工実績の確認点は以下の通りです。
- 過去の製作事例や加工品の紹介を確認
- 同様の製品の製作経験がある
③納期と対応力を確認する
ステンレス加工の見積もりでは、希望納期に対応可能か、柔軟な対応をしてくれるかを確認しましょう。急ぎの依頼や試作への対応力は、業者の信頼性を示す特徴です。Webサイトの情報や、質問への回答から、お客様のニーズに寄り添えるか見極めることが重要です。
見積もり後の流れと注意点
ステンレス加工の見積もりが届いたら、まず内容を詳細に確認しましょう。
見積もり後の確認点は以下の通りです。
- 見積もり価格を確認
- 不明な点があれば必ず質問する
- アフターサービスと保証を確認する
それでは、見積もり後の確認点を見ていきましょう。
①見積もり価格を確認
ステンレス加工の見積もりが届いたら、提示された価格に材料費(SUS304など)、加工費(溶接、曲げ、穴あけ等)、型費、運送費等が全て含まれているか必ず確認しましょう。不明な点は質問し、追加費用の有無を明確にすることが、トラブル回避のポイントです。
②不明な点があれば必ず質問する
ステンレス加工の見積もりで不明な点があれば、遠慮なく質問しましょう。材質や形状、加工方法の認識違いは、後々のトラブルに繋がります。
納得いくまで業者とコミュニケーションを行い、すべての情報をクリアにしておくことが、スムーズな製品製作へのポイントとなります。
③アフターサービスと保証を確認する
ステンレス加工の見積もりだけでなく、納品後のアフターサービスや保証の有無も確認しましょう。万一、加工品に不具合があった際の対応や、質問への対応は、信頼できる業者の特徴です。安心して製品を使用できるよう、事前に情報を得ることが重要です。
リョーユウ工業にご相談ください
リョーユウ工業では、主にシャーリング(切断)加工、タレットパンチ加工、プレーナー加工、レーザー加工、曲げ加工、面取り加工、溶接加工を行っています。塗装に関しても協力会社を通じて対応することが可能です。
リョーユウ工業の技術
リョーユウ工業は、年間50,000件もの加工実績があり、幅広い素材や形状に対応できることが強みです。また、最新の設備を導入しており、高精度な加工が可能です。さらに、小ロットから大ロットまで対応できるため、様々なニーズに対応できます。
- シャーリング(切断)加工
- タレットパンチ加工
- プレーナー加工
- レーザー加工
- 曲げ加工
- 面取り加工
- 溶接加工
他社で断られた案件でも、リョーユウ工業なら解決できるかもしれません。リョーユウ工業に依頼しても駄目なら他でもできない最大の信頼をもらえる会社を目指しています。
ステンレス加工の見積もりまとめ
ステンレス加工の見積もりは、お客様が最適な製品製作を実現するための重要なステップです。正確な見積りを得るには、加工品の材質(SUS304、アルミ、鉄など)、形状、寸法(mm単位)、厚み、穴の有無、曲げや溶接といった加工方法の希望を明確に伝えることが不可欠です。
Web上の無料の見積もりサービスを利用すれば、複数のメーカーの価格や技術力、過去の事例紹介を比較検討可能です。不明な点は遠慮なく質問し、納期やアフターサービスまで確認しましょう。
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