「レーザー加工を依頼したいけど依頼方法がわからない」
「そもそもレーザー加工ってどんな加工ができるの?」
レーザー加工は複雑な形状でも高精度かつ短時間で加工でき、幅広い分野で活用されている加工技術です。
しかし、いざ加工を依頼するときはどの業者に依頼すればいいか迷うことも多いのではないでしょうか。
今回は、そんなレーザー加工の基礎から失敗しない業者選びのコツまで、初心者にわかりやすく解説します。
初めての依頼でも安心して進められるようになりますので、ぜひ最後まで読んでいってください。
レーザー加工の基礎
レーザー加工とは?
レーザー加工とは「レーザー光」を利用して材料を切断・溶接する加工方法です。
金属やプラスチック、セラミックや木材など様々な材料を加工することが可能です。
小さなものではアクセサリや家電製品の基板から、大型のモニュメントや航空機部品など、生活に欠かせない様々な部品の製造現場で採用されています。
レーザー加工の仕組み
レーザー光は、狭い範囲にエネルギーを集中できる特性を持っています。
材料にレーザー光を照射し、熱エネルギーに変換させることで材料を溶かしたり、蒸発させたりして加工を行います。
<レーザー加工の種類>
①除去加工:材料をレーザー光で切り離す加工方法です。鋭利で高精度な切り口が特徴です。
②接合加工:レーザーで材料を溶かし、接合する加工方法です。薄い部品や精密部品の溶接に適しています。
③表面加工:彫刻や模様付けなど材料の表面を処理する加工方法です。
レーザー加工のメリット
メリット1|加工精度が高い
レーザー光の照射径は非常に小さい上、プログラム制御で加工を行うため、加工精度が高いという特徴があります。
ミクロン単位の加工精度が必要な部品や、1mm以下の穴を空けるような精密作業に適した加工方法です。
メリット2| 複雑な形状でも加工が可能
従来の機械加工では難しい曲線や複雑で細かいデザインの切断も、レーザー加工なら容易に加工できます。
2Dや3D図面の情報を元にプログラム制御で加工を行うためです。
試作品や特注品の製作に適した加工方法と言えます。
メリット3|変形やひずみが少ない
レーザー加工は工具が材料に触れることのない非接触加工です。
切断の際は材料に物理的な応力がかからないため変形が少なく、溶接の際は狭い範囲にエネルギーを集中して照射するためひずみを抑えることができます。
メリット4|加工できる材料は多種多様
レーザー加工は金属(鉄、ステンレス、アルミ、チタンなど)はもちろん、プラスチックや木材、セラミックなども加工できます。
硬い素材から柔らかい素材まで幅広く加工できるため、日用品から産業用部品に至るまで、さまざまな用途に利用されています。
メリット5|加工時間が短い
レーザー加工はプレス加工のように加工工程ごとにワークを移動する必要がないため、加工にかかる時間が短いのが特徴です。
プログラム制御で加工を行うため、一度ワークを加工機にセットしてしまえば、あとはすべて自動で加工を行うことができます。
レーザー加工のデメリット
短時間で精度高く仕上げることができるレーザー加工ですが、デメリットもあります。
デメリット1|コストが高い
加工プログラムの作成にかかるオペレーションコストや、高価なレーザー加工機の使用料金(マシンチャージ)が発生するため、コストが高くなる傾向があります。
デメリット2|大量生産に不向き
レーザー加工は短時間で加工が完了する効率的な方法ですが、大量生産には向いていません。
個別に加工を行うため、大量生産時には作業効率が低下してしまうためです。
同じ形状の部品を一度に大量に生産する場合(例えば100個以上)、金型を使用する方法がコストや時間の面で効率的でしょう。
加工業者を探す前に確認すること
材質の確認
レーザー加工は金属から非金属材料まで幅広い材質に対応できる便利な加工方法です。
しかし、加工業者によって得意とする材質や対応可能な材質が異なります。
特に銅や真鍮などの高反射材は、レーザーが反射されやすいため、加工が難しく対応できない業者も存在します。
加工を依頼する前に、自分が選んだ材料が加工業者の設備や技術に適しているかを調べておくと良いでしょう。
材料サイズと板厚の確認
加工できる材料のサイズや厚みは、業者が所有するレーザー加工機の仕様によって異なります。
大型の板材や厚みのある金属を加工したい場合は、それに対応した設備を持つ業者を選ぶ必要があります。
リョーユウ工業ではあらゆる材料、サイズのレーザー加工を行っています。
>>「設備案内」
加工できる材料 | 内容 |
材質 | 鉄・ステンレス、アルミ、チタン、アクリル他 |
板厚 | 鉄・ステンレス(〜9mm)、アルミ(〜5mm)、アクリル(〜20mm) |
長さ | 3.2tまでは最長8m 4t以上は最長3050mm |
見積もりに必要な情報を揃える
正確な見積もりが必要な場合は、設計図面、加工数量、希望納期といった基本情報が必要です。
特に、寸法や加工内容が記載された2D図面は具体的な加工方法や工程を決定するためには欠かせません
特殊な要求や仕上げに関する要望がある場合は、事前に詳細を伝えることで、追加費用の発生や納期の調整を防ぐことができます。
こうした情報共有は事前にまとめておき、見積もり依頼する際に加工業者から回答をもらうようにすると良いでしょう。
加工業者を探すときのポイント
指定材料の対応可否
加工業者を選定する際には、希望する加工内容に対応できる材料や技術があるかを確認することが重要です。
業者によって得意とする材質や加工技術は異なり、すべての材料に対応できるわけではありません。
ステンレスやアルミなど特定の素材に特化している業者も多いので事前に確認しましょう。
また、必要とする加工精度や特殊な技術(例: 彫刻や微細加工)にも対応可能かを確認しておくと、納品後のトラブルを防ぐことができます。
実績を調べる
ホームページやSNSで実際の加工事例を確認するといいでしょう。
自分が依頼したい加工内容や材質の加工実績がある場合、スムーズに対応してもらえるためです。
また加工業者の取り扱い品目数や実績年数を確認することで、経験の豊富さや信頼性を判断できます。
これらを総合的に見て、適切な業者を選びましょう。
試作や小ロット生産の対応可否
小ロットや試作対応が可能かどうかを確認しましょう。
特に、試作品の製作や少量生産が必要な場合、柔軟に対応してくれる業者を選ぶことで無駄なコストや時間を抑えられます。
加工業者によっては大量生産を前提としているため、小ロットや試作に対応できない場合があります。
試作段階でのフィードバックや修正に応じてくれる業者を選ぶことで、より精度の高い最終製品に近づけることが可能です。
事前に条件を確認して適切な業者を選びましょう。
信頼できる加工業者を選ぶポイント
相見積もりを取る
コストやサービス内容を比較するため、複数の業者から相見積もりを取りましょう。
同じ加工内容でも、業者ごとに料金設定や対応可能な技術、納期に違いがある場合があります。
問い合わせ時の対応をチェックする
加工業者に問い合わせをした際の対応は、信頼性やサービス品質を判断する重要なポイントです。
質問への回答が迅速、丁寧であるか、不明点に対して的確に説明してくれるかを確認しましょう。
顧客のニーズや希望をしっかりヒアリングしてくれる業者は、細かな要望にも対応してくれる可能性が高まります。
問い合わせ時の第一印象やコミュニケーションのスムーズさを基準に、信頼できる業者を選びましょう。
担当者の対応と技術知識
見積もり時に担当者の対応や技術知識をチェックしましょう。
誠実に対応してくれる業者は、納期遅延や品質トラブルが少ない傾向にあります。
また、質問に対する回答が具体的で技術的な知識が豊富な場合、期待通りの部品を納品してもらえる可能性が高まります。
スピード感と技術力がある担当者がいる業者を選ぶことで、安心して依頼ができるでしょう。
加工内容の専門知識、実績を確認する
見積もり時には、業者が自分の依頼内容に対する実績を持っているか、また専門分野が一致しているかを確認します。
例えば、特定の材料や形状に対する加工に強みを持つ業者は、高品質で期待通りの部品を提供してくれるでしょう。
また、過去の事例や実績が豊富であれば、技術力や信頼性も高いと判断できます。
専門分野や得意とする加工内容を確認することで、自分のニーズに最適な業者を選びやすくなり、トラブルのリスクも軽減できます。
価格と納期が明確に提示されているか
見積もり時には、提示された価格と納期をしっかり確認することが重要です。
加工費用が予算内に収まるかを確認するだけでなく、価格に含まれる内容(材料費、設計費、運搬費など)を明確にすることで、追加費用の発生を防ぐことができます。
価格と納期のバランスを考慮し、自分の条件に合った加工業者を選定することでスムーズな取引につながるでしょう。
業者選びで失敗しないコツ
価格だけで選ばない
加工業者を選ぶ際に価格は重要な要素ですが、安さだけで選ぶのはおすすめしません。
極端に安い場合は必要なプロセスを省いている可能性が高いので、品質面でのトラブルにつながり、修正費用などの追加コストがかかる可能性があるためです。
コミュニケーションに手間や時間を取られることも見えないコストとして発生するでしょう。
相見積もりで適正な価格を見極め、品質や対応力、信頼性を総合的に判断することが、失敗を防ぐための重要なポイントです。
納期だけで選ばない
納期を重視するあまり情報共有が不十分になると、思わぬトラブルに発展するリスクが高まります。
特に、希望する仕上がりや細かい要望が十分に伝わっていない場合、完成品がイメージと異なる結果になることがあります。
加工業者側が急ぎの対応に追われることで、確認不足や細部の作業が疎かになり、不完全な仕上がりになるケースも少なくありません。
それでも納期が重要な場合は、十分な情報共有や要望の確認を行い、信頼できる加工業者と連携することが重要です。
加工時の懸念箇所を共有する
加工を依頼する際は、懸念点や注意してほしいポイントを事前に業者と共有することが大切です。
特に、加工精度が求められる部分や、材質の特性(例:変形しやすい、傷がつきやすいなど)について具体的に伝えることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
デザインや仕上がりに対する要望が曖昧なままだと、完成品がイメージとかけ離れる可能性があります。
経験豊富な加工業者であれば、懸念事項を聞いた上で、品質を維持するための適切な加工方法を提案してくれるでしょう。
加工前に不安なことがあれば遠慮なく気軽に相談することが大切です。
十分な情報共有を通じて完成品のイメージをすり合わせることで、加工の失敗リスクを下げることができます。
まとめ
今回はレーザー加工の基礎と加工業者の選び方について解説しました。
<要点> ・信頼できる業者選びのポイントは、問い合わせ時の対応、専門知識と実績があること、価格と納期が明確であること。 ・業者選びで失敗しないコツは価格、納期が適正であること、懸念箇所を事前に把握できること。 |
レーザー加工業者はたくさんあります。
しかし、コミュニケーションや経験不足から、こんなはずではなかったという結果に陥るケースは少なくありません。
お客様の完成イメージに寄り添い「リョーユウ工業に任せれば安心」と言ってもらえる会社を私たちは目指しています。
社員一同、お見積り依頼をお待ちしております!
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