リョーユウ工業株式会社
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鉄加工を依頼する前にチェック!基本知識と加工業者の選び方

鉄加工
#鉄加工

鉄加工は金属加工の中でも最も基本となる技術です。
多くの金属加工技術は、鉄加工を基礎に発展してきたと言っても過言ではありません。
それは、鉄が人類にとって最も重要な金属であり、加工技術進歩の長い歴史を持っているからです。
今回はそんな鉄加工の基本知識と、業者選定のポイントまでまとめて解説します。
特に若手技術者必見のポイントが詰まっているので、ぜひ最後まで読んでいってください。

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リョーユウ工業

 

鉄加工の歴史

私たちの回りには鉄、ステンレス、アルミ、銅など様々な金属にあふれています。
その中でも最も歴史が古い金属加工が鉄加工です。
鉄は人類にとって最も重要な金属でした。

鉄加工の歴史は、約4000年前の古代メソポタミアやエジプト文明まで遡ります。
古くは青銅器に始まり、精錬の技術が生まれたことで、農具が進化し、農業革命が起きました。
食糧供給が安定したことで人口が急増します。
さらに18世紀の産業革命によって、手作業中心だった作業が機械化され、農業社会から工業社会へと歴史的な進化を遂げました。
ここでも重要な役割を担ったのが鉄の加工技術です。

長い人類の歴史の転換点で、なぜ鉄はそれほどまでに重要な資源だったのでしょうか。
その理由は次の3つだと言われています。
①手に入れやすい
②加工しやすい
③強度と耐久性を兼ね備えている

鉄の原料となる鉄鉱石の埋蔵量はボーキサイト(アルミの原料)や銅、鉛など他の原料よりも多く、容易に入手できたのです。
叩いて板状に伸ばしたり(鍛造)、溶かして型に流し込んだり(鋳造)と加工のバリエーションの豊富さも鉄加工の特徴です。
配合する炭素量を調整すれば、硬くて強い材料や、柔らかく衝撃に強い材料に変化させることができるため、使い勝手が良い金属でした。

このように、低コストで安定して生産できる鉄は現在でも建設、自動車、船舶、電化製品など幅広く使用されています。

 

鉄・鋼・ステンレスの違い

鉄と鋼とステンレスの違いを説明できるでしょうか?
似ているようで微妙に違うこれらの金属は、JISの定義ではそれぞれ次のように分類されています。

材料 説明
純鉄。(炭素含有量0.02%まで)
鉄+炭素の合金。鉄を主成分として約2%以下の炭素、その他の成分を含むもの
ステンレス 鉄+炭素+クロムの合金。鉄を主成分として1.2 %以下の炭素、10.5 %以上のクロム、その他の金属を含むもの

 

ステンレスは「鋼」という大きな分類の一つなので、「ステンレス鋼」とも呼ばれます。
ちなみに鉄の呼び方も「Iron(アイアン)」「Steel(スチール)」「Fe」とさまざま。
「Iron(アイアン)」は鉄全般の総称です。
「Steel(スチール)」は鋼、「Fe」は元素記号としての純鉄でラテン語の「Ferrum」が語源と言われています。

私たちの周りにある鉄製品のほとんどは鋼を加工して作られています。
鋼の中にも種類があり、炭素量やその他の金属の配合量に応じてさらに細かく分類されています。
ここでは使用頻度の高い金属を確認しておきましょう。

 

低炭素鋼

炭素の含有量が0.02%〜0.3%の鋼を低炭素鋼と呼びます。
<低炭素鋼の種類>
・SPC材(炭素含有量 0.1%以下)
・軟鋼(炭素含有量 0.18〜0.30%)
・高張力(ハイテン)鋼(炭素含有量 0.20%以下、シリコン、マンガン、チタンなどの金属を含む)

中炭素鋼

炭素の含有量が0.3%〜0.6%の鋼を中炭素鋼と呼びます。
<中炭素鋼の種類>
・S◯◯CなどのSC材  ※〇〇は炭素含有量を表す(例. S45Cは炭素0.45%含有)
・SS◯◯などのSS材   ※〇〇は引張強さを表す(例. SS400は引張強さが400N/mm2)

高炭素鋼

炭素の含有量が0.6%〜2.0%の鋼を高炭素鋼と呼びます。
<高炭素鋼の種類>
・SK◯◯などのSK材 ※〇〇は炭素含有量を表す(例. SK95は炭素0.95%含有)
・ステンレス鋼 SUS430(炭素含有量 1.2%以下、クロム含有量17%)
・ステンレス鋼 SUS304(炭素含有量 1.2%以下、クロム含有量18%、ニッケル含有量8%)

 

※炭素量が増えると、鋼の性質は「硬くなるが、もろくなる」方向に変化します。

 

鉄板の製造プロセス

私たちが目にする金属製品の多くは、鉄板や鉄塊を加工して作られています。
鉄の原料となる鉄鉱石がどのように鉄板に加工されているのか、簡単にそのプロセスを見ていきましょう。

プロセ 概要
ステップ① 採掘した「鉄鉱石」と「石灰石」を混ぜ、焼き固めます
ステップ② 固めた「鉄鉱石」と「コークス」(炭素の塊)を混ぜ高炉で溶かし、「銑鉄」と呼ばれる鋼の元を作ります
ステップ③ 溶けた「銑鉄」を転炉で精錬(不純物を除去)し、「スラブ」(鋼片)を作ります
ステップ④ 「スラブ」をローラーで圧延して鉄板を作ります

 

鉄加工の種類

切断・切削加工

切断・切削加工とは、金属や材料を目的の形状やサイズに加工する基本的な方法です。

切断加工には、プレス加工やレーザー加工などがあり、素材を素早くカットして必要な形状を作ります。
一方、切削加工は、フライス加工・旋盤加工・プレーナー加工が代表的で、工具を使って表面を削りながら精密な形状を仕上げる技術です。

切断加工は大量生産に向いており、短時間で効率よく加工できます。
一方、切削加工は細かい調整が可能で、高い精度が求められる部品の加工に適しています。

これらの加工方法を組み合わせることで、強度や精度を保ちながら、さまざまな製品が作られています。

 

鍛造加工

鍛造加工とは、金属をハンマーや機械で叩き、形を整える加工方法です。

この技術は日本でも古くから受け継がれ、日本刀や鉄砲といった武器だけでなく、農具や包丁など生活に欠かせない道具にも広く活用されてきました。

鉄を叩くことで内部の結晶構造が密になり、引っ張り強度や圧縮強度が向上し、より強くなります。
また、粘り強さが増し、衝撃や曲げに対する耐性が向上するため、耐久性の高い材料になります。

鍛造は、鉄をより丈夫で壊れにくくし、長持ちさせる技術として、現在でも自動車や航空機の部品、工具や刃物など、さまざまな分野で利用されています。

 

鋳造加工

鋳造加工とは、溶かした金属を型に流し込み、冷やして固めることで形を作る加工方法です。

この方法を使うと、切断・切削や鍛造では難しい複雑な形状や大きなサイズの製品を製造できます。
例えば、自動車のエンジン部品、鉄パイプ、バルブ、建設材料など、強度や耐久性が求められる部品の製造に広く活用されています。

鋳造加工は、複雑な形状の製品を一度に大量生産できるため、コスト効率が高く、大型部品の製造にも適しています。
そのため、産業機械や建築、インフラ分野など、多くの分野で重要な役割を果たしています。

 

鉄の価格は上がり続けている?

鉄製品は、安定して低コストで製造できる点が大きな強みとされてきました。
しかし、近年その状況が変わりつつあります。

鉄の主な原料である鉄鉱石の価格は上昇傾向にあり、製造コストにも大きな影響を与えています。
その背景には、需要と供給のバランスの変化、燃料費や物流コストの上昇、さらには環境規制の強化といったさまざまな要因があります。
特に、環境負荷を抑えるための製鉄プロセスの見直しや、脱炭素化の動きが進む中で、製造コストの増加は避けられない課題となっているのです。

このような状況は、鉄を主要材料とする製造業にとって大きな痛手となり、今後の生産戦略にも影響を及ぼすでしょう。
そのため、材料の特性をしっかり理解し、適切な素材の選定や加工方法を工夫することが重要です。
鉄以外の材料との比較や、コストを抑えるための最適な加工技術の活用など、製造コストの管理が求められる時代になっています。

 

鉄加工の業者依頼のチェックポイント

鉄加工の基本知識を解説してきました。
ここからは、そんな鉄加工で失敗しない業者依頼のチェックポイントを紹介していきます。

1. 加工方法の対応可否を確認する

鉄加工には、切断・切削加工、鍛造加工、鋳造加工のほか、溶接加工や表面処理など、さまざまな種類があります。
業者によって対応できる加工方法は異なるため、依頼内容に適した加工が可能か事前に確認しましょう。

例えば、試作品や単品加工を依頼する場合は、短納期対応や小ロット生産が可能かどうかをチェックしましょう。
一方、大量生産を希望する場合は、自動化設備の有無や量産実績があるかを確認することがポイントです。

リョーユウ工業では、幅広い加工技術を活かし、一品物から量産品まで柔軟に対応しています。
ニーズに応じた最適な加工方法を提案し、高品質な製品を提供します。

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2. 材料の対応可否を確認する

鉄鋼材料には、軟鋼やステンレス鋼などさまざまな種類があり、業者によっては対応できない場合があります。
依頼したい材料を取り扱っているか事前に確認しましょう。

もし希望する材料を扱っていない場合でも、代替材料の提案ができる業者であれば、目的に合った最適な選択肢を相談できます。
また、取扱実績や取扱量をチェックすることで、その業者の対応力を判断しやすくなります。

特に、標準的に取り扱っている材料であれば、調達コストを抑えられるだけでなく、品質管理のノウハウも蓄積されているため、加工トラブルのリスクを軽減できるでしょう。

 

3. 見積もりの透明性

見積もりを依頼する際は、材料費、加工費、表面処理費、運搬費などの要素を確認し、総コストを把握することが大事です。

特に、以下の点をチェックしましょう。

・価格の内訳が明確か(材料費・加工費・その他の費用)
・追加費用が発生する可能性はないか
・他社との比較(相見積もり)して極端に高い、安い項目がないか

価格の安さだけで業者を選ぶと期待通りの品質の部品が上がらず、追加コストの発生、納期が遅れるリスクがあります。
コストと品質のバランスを考慮し、信頼できる業者を選ぶことが重要です。

 

4.実績と評判

業者の信頼性を確認するには、過去の取引実績や評判をチェックすることが重要です。

以下のポイントを確認すると、業者の信頼度を判断しやすくなります。

・どの業界の企業と取引しているか(大手企業との取引実績があるか)
・リピート率が高いか(継続的な取引が行われているか)
・口コミやレビューを確認(インターネットの評判や紹介など)

長年の実績がある業者は、品質や対応力が安定していることが多いため、安心して依頼できます。
信頼できる業者を選ぶことで、スムーズな取引と高品質な加工が期待できるでしょう。

 

5. コミュニケーションのしやすさ

業者選びでは、スムーズなやり取りができるかどうかが重要なポイントになります。

特に、仕様変更や納期調整が発生する可能性がある場合、迅速な対応が求められます。
以下の点をチェックすると、信頼できる業者か判断しやすくなります。

・問い合わせや見積もりの回答が速いか
・技術的な相談に親身に対応してくれるか
・仕様変更やトラブル時に柔軟に対応できるか

単発の取引だけでなく、長期的なパートナーとして付き合う場合は、対応の良さが大きな決め手となります。
信頼できる業者を選ぶことで、安定した取引が期待できるでしょう。

 

まとめ

今回は、鉄加工の基本知識と業者選びのポイントについて解説しました。

 
 <要点まとめ>
・鉄加工が重要な理由:①入手しやすい ②加工しやすい ③強度、耐久性が高い
・「鉄」は純粋な鉄。「鋼」は鉄に炭素を加えた合金で、炭素量によって特性を調整できる
・業者選びのポイント:加工方法・材料の対応可否、実績、見積もりの透明性、コミュニケーションのしやすさ

 

鉄加工はあらゆる金属加工の基本となる加工技術です。
専門知識と豊富な実績を持つ業者を選ぶことで、高品質な加工を安心して依頼できます。

リョーユウ工業では、鉄加工のプロフェッショナルが丁寧にサポートいたします。
金属加工に関するご相談があれば、お気軽にお問い合わせください。

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