リョーユウ工業株式会社
リョーユウ工業株式会社

チタン加工の基礎知識と実践!失敗しない業者選びのポイント

チタン加工
#業者#チタン

チタンは軽くて強い上に錆びづらいため、キャンプ用品から航空機分野まで幅広く活用されています。

「チタンの場合どれくらい費用がかかるのかな」
「鉄やステンレスと同じように加工できるのかな」

普段はあまり使用することがないチタン材料。
いざ加工業者に見積もり依頼をするとき、大丈夫かなと不安になりますよね。

今回はそんなチタン加工の基礎知識と、失敗しない加工業者選びのポイントについて解説します。
この記事を読めばチタン加工の基本をバッチリ押さえられます。
チタンにあまり馴染みのない方は、最後まで必見の内容ですよ。

 

チタン加工の基本|3つの特徴

チタンは鉄やステンレス、アルミなど一般的に使われる材料にはない特徴があります。

<チタンの3つの特徴>
 ①比強度が高い ※比強度とは重量あたりの強度を表す指標です
 ②耐食性が高い
 ③意匠性に優れている

 

①比強度が高い

チタンは軽さと強さを兼ね備えた金属です。
「鉄と同じ強度なのに重さは鉄の半分」こんなイメージの材料です。
軽くて強い材料なので、キャンプ用品や航空機用部品など幅広い分野で使われています。

軽さと強さの両立は比強度という数値で比較することができます。
一般的な金属材料とチタンの比強度を比較した表がこちらです。

材料 引張強さ[Mpa] 比重[g/cm3] 比強度
チタン合金 1,400 4.4 317
高張力鋼 1,500 7.9 191
アルミ 260 2.7 97
ステンレス 520 7.9 66

(引用:『目で見るチタンの加工』, 上瀧洋明著, 日刊工業新聞社)

ステンレスが最も比強度が低いのは意外ではないでしょうか。
確かにステンレスは強度と耐食性のバランスの良い材料ですが、比強度という点ではチタンに劣ります。

 

②耐食性が高い

チタンは耐食性が非常に高い金属です。
特に海水に対してはほぼ「錆びない」と言っても良いほど、チタンは優れた耐食性を持っています。

空気に触れるとチタンの表面には酸化皮膜が形成され、外部からの異物の侵入を保護し、腐食を防ぐ役割を果たします。
チタンはその高い耐食性を活かし、様々な分野で利用されています。
例えば、海水淡水化装置や、腐食性の高い排気ガスにさらされる自動車の排気管、塩害に強い素材が求められる家屋の屋根材など、その用途は多岐に渡ります。
近年では、環境問題への関心の高まりとともに、EV(電気自動車)用電池や燃料電池といった次世代エネルギー分野への応用も期待されており、チタンの活躍の場はますます広がっています。

 

③意匠性に優れている


(引用:『チタンの加工技術』, 日刊工業新聞社, チタンカラー発色画)

チタンには、化学処理によって色調が変わる特徴があります。
陽極酸化法と呼ばれる化学処理によって、耐食性をさらに向上させるだけでなく、見た目の美しさを表現することができます。

色調が変化する原理は、プリズムが太陽光を虹色に分光する干渉現象と似ています。

チタン表面の酸化皮膜は無色透明です。
電解液の中にチタン製品を浸し、電極間に電気を流すと、酸化皮膜の厚みをコントロールすることができます。
酸化被膜の厚さによって反射される光の波長が変化し、私たちが目にするときの色が変化するというわけです。

陽極酸化処理による発色は鮮やかで、美観に優れるため、時計やメガネフレームなど、高いデザイン性が求められる製品に多く採用されています。
キャンプ用品などによく使われるチタン製のカトラリーで、虹色に輝くものを見たことはないでしょうか。
あれもこの原理を利用して作られています。

チタンは単なる工業材料の枠を超え、私たちの生活を彩る様々な製品に新たな価値を生み出しているのです。

 

失敗しないチタン加工業者選びのポイント

さて、ここからが本題の加工業者選びのポイントです。
チタンの加工で失敗しないための業者選びのポイントは次の3つです。

①実績・経験があるか
②加工時のリスクを理解しているか
③コストは適正か

 

①実績・経験があるか

基本的に鉄やステンレスで行う加工は、チタンでも加工できます。
しかし、「チタンは材料の性質上、注意すべき点がある」ということなのです。

例えばチタンは加工硬化が大きい、スプリングバックが大きい、熱伝導率が低いなど様々な特性があります。
チタンの特性を正しく理解しているか、対策はどのように取るのか、過去に加工経験はあるかが業者を選ぶ上で重要になってきます。

<チェックポイント>
 ・加工硬化に対してはどのように対策するのか
 ・スプリングバックに対してはどのように対策するのか
 ・加工面の精度は鉄やステンレスと同等にできるか
 ・過去に加工実績はあるか

 

②リスクを理解しているか

チタンは加工に注意が必要な金属材料です。
鉄やステンレスと同様に加工できると考えて安易に加工を進めてしまうと、思わぬトラブルにつながる可能性があります。

例えば切削加工ではワークが変形しやすく、溶接加工ではひずみが生じやすいといったリスクがあります。
加工前にリスクについての情報を共有してくれる業者に相談、依頼することで後のトラブルを未然に防ぐことができます。

<チェックポイント>
 ・鉄やステンレス加工にはないリスクはないか
 ・ワークが変形しやすくなるが、板厚は足りているか
 ・溶接時はひずみが生じやすくなるが許容できるか

 

③コストは適正か

チタンは原材料費が高い上に、特有の対策が必要になるため、鉄やステンレスと比較するとコストが高くなる傾向にあります。
また、チタンの機械的性質は、その合金組成や熱処理条件によって大きく変化します。
加工業者に依頼する際は、使用するチタンのグレードや、求められる製品の特性を正確に伝えることが重要です。

コストが適正かを知るためには、相見積もりが有効です。
相見積もりを取り比較することで、加工にかかる費用の相場を知ることができます。

企業のホームページを確認したり、問い合わせをしたりして、できるだけチタン加工を得意としている加工業者に依頼するといいでしょう。
タン加工を日常的に行っている加工業者は、材料の特性を理解しているため不必要な工程や仕損費用が少ないため、割安になるケースがあります

 

チタン加工の注意点

チタンは鉄やステンレス、アルミにはない特徴を持つ金属だと説明しました。
特徴に違いがあるということは、材料の性質に違いがあるということです。

チタン加工を行う際の代表的な注意点がこちらです。

<チタン加工の注意点>
 ・加工硬化が大きい
 ・スプリングバックが大きい
 ・熱伝導率が低い

チタンは加工硬化が大きいため、張出し加工が得意ではありません。
※加工硬化とは金属を伸ばすと硬くなる(脆くなる)現象です。
※張出し加工とは、しわ押さえをしながら絞り加工を行う方法です。

この性質を知らずに加工をすると、加工途中に割れが生じます。
しわ押さえ圧を調整する、加工前のブランクを大きく取り、加工後に外形トリミングすることで対策が可能です。

スプリングバックとは曲げ加工後に、わずかに加工前の状態に戻る現象です。
鉄やステンレスと同様にチタンはヤング率が高く、スプリングバックが大きくなる傾向があります。
※ヤング率とは材料の変形のしにくさを表す指標です。

曲げ角度や曲げ後の寸法を確保したい場合は、オーバーベンド、ストライキング、Vノッチでスプリングバック対策が可能です。

チタンは加工が難しい材料と言われる原因の1つが、熱伝導率の低さです。
旋盤加工やフライス加工といった切削加工では、加工熱が生じます。
適度に加工熱を抑えなければ加工面の乱れや、工具の破損、加工品質の低下へとつながるため注意が必要です。

加工熱の逃げ道は母材、切粉、工具の3ルートに分かれますが、母材と切粉は熱伝導率の低いチタンの場合、工具の刃先に熱が集中します。
その結果、工具の摩耗やチッピング、構成刃先の形成につながり、工具の寿命低下、部品不良へとつながるのです。
※構成刃先とは、切削加工中に工具の刃先に切りくずの一部が溶着し、刃先の一部となる現象です。

加工速度を調整したり、冷却用の潤滑油を活用したりすれば、安定した加工精度を維持することができます。

このような調整には過去の加工実績や経験が必要になります。

 

チタンの有効な活用事例

①キャンプ用品

近年「軽い」「強い」という特徴を生かした、チタン製のキャンプ用品を目にするようになりました。
チタン製のキャンプ用品は持ち運びがしやすく、耐久性にも優れるため、アウトドア愛好家から人気を集めています。
カトラリーやカップだけでなく、薪ストーブや、タープポールといった重量のあるものも簡単に持ち運ぶことができるようになりました。
陽極酸化処理によって色調を自在にコントロールできるため、デザイン性に優れた商品開発ができるのも魅力の1つと言えるでしょう。

 

②スポーツ用品

チタンはスポーツ用品にも多く採用されています。
チタン製のゴルフクラブは、軽量で高強度なため、飛距離アップやスイングの安定化に定評があります。
高性能な自転車フレームにもチタン合金が使用されています。
軽量で振動吸収性にも優れているため、快適な走行を実現させることができます。

今後もチタンの技術活用により、高いパフォーマンスを実現するスポーツ用品が誕生していくことでしょう。

 

③医療分野

アレルギー反応が少なく、人体親和性が良いチタンは医療分野でも活躍しています。
体内に入っても無害なため、人工骨や人工関節、歯科用のインプラントなどに使われています。

人体内に埋め込まれても、軽量で強度が高いため、身体への負担がありません。
耐食性が高いため、体液や組織液に対して長期間にわたって機能を維持することができます。
非磁性なので、MRIなどの検査医療機器との干渉が少ないという特徴もあります。

このようにチタンは人体との相性が良いため、今後も医療分野での貢献が期待されます。
形状が複雑で高い機能性が要求される医療用部品は、3Dプリンターやナノテクノロジーとの融合により、さらなる進化を遂げることでしょう。

 

補足|チタンの研削加工性と溶接加工性

チタンの研削加工性

<研削加工性に影響を与えるチタンの特徴>

 ・熱伝導率が小さい
 ・ヤング率が鉄やステンレスの1/2 (※ヤング率:大きいほど変形しにくく硬い)
 ・耐摩耗性に劣る。焼き付きを起こしやすい。

チタンは、鉄やステンレスと比較して比強度が高く耐食性に優れますが、摩耗性に劣るため工具寿命が短く、トラブルになりやすいというデメリットがあります。
研削加工の際はチッピング防止の為、バイトの突き出し長さや加工速度の調整、工具のメンテナンスが必要です。
※チッピングとは工具の刃先が欠けることです
また、チタンは切削加工中に振動を起こしやすいため、適切な工作機械を使用することも重要です。

 

チタンの溶接加工性

<溶接加工性に影響を与えるチタンの特徴>

 ・融点が高い
 ・空気と反応しやすい (酸化皮膜を形成する)
 ・線膨張係数が小さい

チタンの融点は1,700度とステンレスの1,400度よりも高いため、溶接加工の際は安定した熱源と熟練の技術者が必要です。
空気(酸素や窒素)と反応しやすい性質を持つチタンの溶接は、不活性ガスを用いて確実に空気を遮断しないと溶接欠陥につながります。
また、チタンは熱伝導率が低いため、溶接加工中のひずみや変形に注意する必要があります。

 

その他の特性

 ・磁性がない
 ・比重が鉄より小さく、アルミより大きい
 ・縦弾性係数が小さい

チタンは磁性がないため、人体に埋め込んでもMRIなどの検査医療機器との干渉の心配がありません。
縦弾性係数が小さいため、振動や衝撃を吸収しやすく、自転車用のフレームなどにも活用されています。

 

まとめ

今回はチタン加工の基礎知識と、失敗しない加工業者の選び方について解説しました。

・チタン加工のメリットは、軽くて強い錆びないデザイン性が高い
・チタン加工のデメリットは、コストが高い加工に注意が必要トラブルになりやすい
・加工業者選びのポイントは、①実績・経験があるかリスクを理解しているかコストは適正か

 

チタンは加工が難しいというイメージが広まっているのは、鉄やステンレスとは違う性質を持つためです。
しかし、チタンの特性を正しく理解すれば対処が可能であり、チタンの特徴を最大限に生かした商品づくりが可能になります。

当社には、長年のチタン加工の実績と経験があります。
最適な加工方法やコスト削減の提案など、専門のスタッフが丁寧にお客様のご要望にお応えいたします。
ご相談、お見積り依頼、社員一同お待ちしております!

 

金属加工の豆知識一覧に戻る
092-933-6811 ご相談・お見積もり