ボンデ鋼板はリン酸亜鉛皮膜を施した鋼板で、優れたサビにくさと塗り付けの密着力から多くの現場で用いられています。この記事では、ボンデ鋼板の定義や、ボンデ処理の仕組み、塗り付けが高い理由、ガルバリウム鋼板との比較、曲げ・溶接・切断といった懸念点まで、実務で役立つ知識を詳しく解説を進めていきます。
ボンデ鋼板とは?

ボンデ鋼板は、冷間圧延鋼板の表面に電気亜鉛メッキを施した後、さらにリン酸塩処理(ボンデ処理)を施し、均一ではがれにくさの高い被膜を形成した鋼材です。
優れた塗り付けとサビに対する耐性を持つため、家電製品や自動車部品、高い品質の塗り付けが必要な用途に多く採用を行っています。この処理により、通常の亜鉛メッキ鋼板(SECCなど)よりも塗料とのはがれにくさが優れており、複雑な切削にも可能な素材です。
厚みと製造できる板厚範囲
ボンデ鋼板の厚みは、ベース材である電気亜鉛メッキ鋼板(SECC)のJIS規格に準拠を行っています。製造が可能な板厚の範囲は、薄いものから約3.2mm中程度の厚さまで種類が多く、用途に応じて様々なサイズに使用を行っています。
製品部品へ手を加える際は、注文の厚さを正しく確認する必要があります。
用途別 ボンデ鋼板の代表的な板厚を整理してみました。
| 板厚(㎜) | 用途の傾向 | 具体的な製品例 |
| 0.6~1.0 | 薄物・軽量部品や精密部品。板金曲げ加工が容易で、軽量化や薄型化が必要な部位に用いられます。 | 家電製品の内装・外装部品、OA機器(プリンター、コピー機)の筐体、薄型パネルなど。 |
| 1.2~1.6 | 最も汎用性の高い板厚。強度と加工性のバランスが良く、広い範囲で使用されます。 | 自動車部品(ブラケットなど)、配電盤や制御盤のキャビネット、建築内装材(間仕切りなど)。 |
| 2.0~3.2 | 強度や剛性を重視する部品。重量物を支える構造部材や、厚さが必要な溶接構造の部品に用いられます。 | 産業用機械のカバーやフレーム、自動車の構造部品、ラックや架台など。 |
ボンデ処理とは?

ボンデ処理とは、電気亜鉛メッキ鋼板(SECC)の表面にリン酸を主成分とする化成処理を施し、均一なリン酸塩被膜を形成させる方法で、ボンデライズ処理とも呼ばれます。
この処理により、素材である鋼板のサビにくさが保たれるだけでなく、塗り付けを行う際に塗料とのはがれにくさを格段に高めることが可能になります。
製品部品への仕上げ後に高い美しさと耐食性を必要とする用途に優れた塗り付けが可能となり、多くの金属製品に採用を行っています。

ボンデ処理の主な機能をまとめてみました。
- 塗り付けのはがれにくさの向上: リン酸塩被膜が塗料の「食いつき」を良くし塗り付けのはがれを防止
- 耐食性の強化: メッキ被膜と塗り付けの間にサビの進行を抑える層を形成
- 均一な下地: 表面に均一な化成被膜を施し、高品質な塗り付けを可能
ボンデ処理とメッキ処理の違い
メッキ処理は、鋼板の表面に亜鉛の金属被膜を電気的に施し、サビの発生を防ぐための方法です。一方、ボンデ処理は、その亜鉛メッキ層の上にリン酸塩を利用して化学的な処理を行い、リン酸塩被膜を形成させる方法です。
この違いは、メッキがサビを主目的とする層であるのに対し、ボンデ処理は塗り付けのはがれにくさを格段に優れさせる下地処理であることが主たる目的です。ボンデ鋼板は、これら二つの処理を利用して高い品質の部品を製造することを可能にします。
ボンデ処理が使われる場面と用途の傾向
ボンデ処理が施した鋼板は、高い塗り付けと優れたサビ効果が必要な用途に多く使用されています。特に、最終的に塗り付けを施して製品とする家電や自動車部品、建築内装材などの金属製品に採用されています。
この処理により、均一で高品質な塗り付けが可能になり、製品の寿命を延ばします。
ボンデ鋼板の主な用途傾向を整理してみました。
- 家電製品: 高い美しさが必要な筐体や部品(冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)
- 自動車部品: 耐食性と塗り付けが重要な内装部品やエンジン周りの部品
- 建材: 建築物の内装や配電盤など、塗り付け仕上げが必要な部分
- OA機器: 薄い板厚で精密な調整が必要な機器の筐体
下記の記事では、金属の表面処理について説明されているのでぜひ参考にしてください。
ボンデ鋼板とガルバリウム鋼板の違い

ボンデ鋼板とガルバリウム鋼板は、サビを防ぐためのメッキの種類と方法に大きな違いがあります。ボンデ鋼板は、電気亜鉛メッキ(SECC)を施した後にリン酸塩処理(ボンデ処理)を行い、優れた塗り付け性を必要とする製品部品の用途に使用を行っています。
一方、ガルバリウム鋼板(SGCCに近い溶融メッキ材)は、溶融した亜鉛とアルミニウムの合金メッキを施した鋼板で、メッキそのものによる高い耐食性が特徴であり、塗り付けなしで建築の外装材などに多く用いています。
この違いから、塗り付けが重視ならボンデ鋼板、耐食性重視ならガルバリウム鋼板が適しています。
ボンデ鋼板 とガルバリウム鋼板の違いを整理してみました。
| 鋼材 | 処理 | 価格帯 | 用途 | 特徴 |
| ボンデ鋼板 | 電解亜鉛めっき | 比較的安価 | 塗装を前提とする部品、内装部品など | 塗装性に優れる |
| ガルバリウム鋼板 | 溶融亜鉛・アルミ合金メッキ | ボンデ鋼板より高価な場合が多い | 屋外など、耐食性重視の環境や部品 | 高い耐食性を持つ |
ボンデ鋼板とガルバリウム鋼板の製作の違い
ボンデ鋼板とガルバリウム鋼板では、製作性に大きな違いがあります。ボンデ鋼板は、電気亜鉛メッキの層が薄いため、曲げ加工や溶接など金属加工が比較的容易に可能で、後の塗り付けのためのリン酸塩被膜により優れたはがれにくさを発揮します。
一方、ガルバリウム鋼板は溶融メッキが厚いため、曲げの際にメッキ層にひび割れが生じることがあり、溶接の際には亜鉛のヒュームに注意が必要ですが、塗り付けなしでも高い耐食性を利用できる違いがあります。この違いが用途や製作の方法を決定します。
ボンデ鋼板とガルバリウム鋼板耐候性・耐久性で選ぶ場合の判断基準
耐候性・耐久性でボンデ鋼板とガルバリウム鋼板を選ぶ際の判断基準は、メッキの種類と塗り付けの有無に大きく依存します。ボンデ鋼板は、電気亜鉛メッキ層の上にリン酸塩処理を施し、優れた塗り付け性を利用して塗り付けを施した後の耐久性を高める用途に適しています。
一方、ガルバリウム鋼板(SGCCに近い溶融メッキ材)は、厚い亜鉛・アルミ合金メッキ層による高い耐候性が特徴で、塗り付けなし、または過酷な屋外環境での使用が必要な用途におすすめです。
ボンデ鋼板の加工方法:曲げ・溶接・切断の懸念点

ボンデ鋼板の加工は、曲げ加工や切断は容易に可能ですが、メッキとリン酸塩被膜の特性を保つための懸念点が必要です。曲げの際は、薄いメッキの層が割れないように曲げRを適切に選ぶことがおすすめです。
また、溶接は電気亜鉛メッキの層が薄いため、溶融亜鉛メッキ鋼板よりも比較的容易に可能ですが、溶接で失われた亜鉛被膜の部分はサビやすくなるため、後のサビ処理が必要です。
曲げ加工で皮膜を損傷させないコツ
ボンデ鋼板の曲げ加工を行う際に、表面の亜鉛メッキやリン酸塩被膜を損傷させないコツは、適切な曲げR(曲げ半径)を用いることです。
板厚に対して小さすぎるRで曲げると、鋼板が急激に伸ばされ、被膜に微細な割れが生じる可能性があります。この割れからサビが発生することを防ぐため、大きめのRを使うことがおすすめです。
また、使用する金型は表面が滑らかで、板に傷を施しにくいものを選択することも、製品部品の品質を保つ上で重要です。
溶接前後の皮膜処理とサビ対策
ボンデ鋼板は電気亜鉛メッキの層が薄いため、溶接は比較的容易に可能ですが、溶接の熱で亜鉛メッキとリン酸塩被膜が焼失し、その部分のサビにくさが失われます。
そのため、溶接後の処理が非常に重要です。溶接後は、サビの発生を防ぐため、焼失した箇所に亜鉛の含有量が高いサビ塗料や亜鉛メッキスプレーなどを利用したサビ対策を施すことが必要です。この後処理を適切に行うことで、製品部品の高い耐久性を保つことが可能です。
溶接前後の皮膜処理とサビ対策を整理してみました。
- 溶接前の皮膜処理: 電極の寿命を延ばすため電極の清掃がおすすめです
- 溶接後のサビ対策: 溶接熱で被膜が失われた箇所に亜鉛の含有量が高いサビ塗料を塗布するなど追加のサビ処理が必要
- ヒューム対策: 亜鉛のヒュームが発生するため作業の際は十分な換気と防護が必要
レーザー切断の適性
ボンデ鋼板の切断加工において、レーザー切断は可能ですが、用途により適性が異なります。レーザー切断は複雑な形状の切断や薄い板厚の製作に優れていますが、切断の際に熱が加わるため、切断面の亜鉛メッキ被膜が焼失し、後のサビへの対策が必要になります。
切断によってメッキが施していない鉄の切断面が露出するため、最終製品の塗り付けやサビ処理が必要です。
穴あけ加工・タップ加工時のポイント
ボンデ鋼板への穴あけ加工やタップ加工は、一般の鉄板と同様に可能ですが、切断面のサビ対策が必要な重要なポイントです。穴あけやタップを施した際、切断面では亜鉛メッキやリン酸塩被膜が完全に失われ、ベース材である鉄が露出します。
この露出した金属はサビやすいため、加工後に高い耐久性が必要な製品部品の用途では、穴の内部まで塗り付けを行う、または亜鉛を含むサビ剤を塗布するなどの後処理が必須となります。適切な製作と処理により、長期間の使用を可能にします。
穴あけ・タップ加工時の懸念点を整理してみました。
- 切断面の露出: 穴あけやタップにより鋼板の切断面のメッキ被膜が失われサビが発生しやすい状態
- サビ対策: 加工後は穴の内部へ塗り付けやサビ剤の塗布を施し、サビにくさを保つ必要がある
- 製作性: SPCCと同様に優れた製作性を持っており、一般的な方法で可能
下記の記事では、金属の穴あけについて説明されているので合わせて参考にしてください。
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ボンデまとめ
ボンデ鋼板は、サビにくさと塗り付けのはがれにくさに優れたリン酸亜鉛皮膜を持つ鋼板で、規格・板厚・材質など多様な条件に対応します。
この記事では、ボンデ処理の仕組み、塗り付け性が高い理由、ガルバリウム鋼板との性能比較に加え、曲げ・溶接・切断など製作時の懸念点まで、実務に役立つ要点を総合的にまとめました。
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