金属材料の基礎から実務までを初心者向けに解説します。材料の定義や鉄・非鉄の種類、加工との関係を理解し、記号やJIS規格の読み方を学習。さらに価格や単価の仕組み、見積りの考え方、各種試験と品質保証まで、現場で役立つ知識を体系的に整理します。
金属材料とは?

金属材料は、鉄を主成分とする鉄鋼とそれ以外の非鉄金属に大きく分類されます。純金属に特定の元素を添加した合金は、強度や耐食性、熱伝導性などの特性を制御できるため、機械部品や建築、産業分野で幅広く利用されています。
代表的な材料には炭素鋼のSS材やステンレス鋼(SUS304・316)、アルミニウム、銅、チタンなどがあり、用途に合わせて最適な板材や型材を選び、切削や溶接、熱処理などの加工技術を駆使して製品化されます。
金属材料の英語表記の意味
金属材料の英語表記はJIS規格に基づき、鉄鋼ならSteelのS、ステンレスならSteel Use StainlessのSUSなど頭文字で種類を判別できます。続く数字は炭素量や引張強度、ニッケル等の添加元素の配合を示しており、特性を正しく読み解くことが加工や用途選びには重要です。
鉄系材料と非鉄金属材料の基本分類
金属材料は大きく「鉄鋼」と「非鉄金属」に分類されます。鉄を主成分とする鉄鋼は、炭素量で性質を制御する炭素鋼(SS材等)や、クロムやニッケルを添加して耐食性を高めたステンレス鋼(SUS304等)があり、高い強度から建築や機械の構造用に多用されます。
対してアルミニウムや銅、チタンなどの非鉄金属は、軽量性や熱伝導性、耐熱性といった独自の特性を持ち、用途に応じた最適な合金選びが製品の品質を左右する重要な鍵となります。
鉄系材料と非鉄金属材料の分類を一覧表にまとめました。
| 分類 | 代表的な材料(規格例) | 主な特徴と用途 |
| 鉄鋼材料 | 一般構造用圧延鋼材(SS400) | 鉄を主成分とし、炭素量で強度を調整します。安価で強度が高く、建築や機械構造の主役に選ばれます。 |
| 炭素鋼(S-C材) | ||
| 合金鋼・工具鋼(SK材) | ||
| ステンレス鋼 | SUS304 | 鉄にクロムやニッケルを添加した合金。非常に優れた耐食性(さびにくさ)を持ち、意匠性や衛生面を重視する製品に最適です。 |
| SUS316 | ||
| SUS430 | ||
| 非鉄金属 | アルミ合金(A5052等) | 鉄以外の金属。軽量、高熱伝導、高耐食、非磁性など独自の特性を持ち、航空宇宙、電子部品、熱交換器などで活躍します。 |
| 銅・黄銅(真鍮) | ||
| チタン合金 | ||
| 特殊合金 | マグネシウム合金 | 超軽量化や、高温環境下での高い耐熱性が求められる過酷な産業分野で使用される高機能材料です。 |
| ニッケル合金 |
加工方法と材料特性の関係(切削・塑性・溶接)
金属材料の特性は、切削や溶接、圧延といった加工性に直結します。例えば、炭素鋼は熱処理で硬度を制御でき、ステンレス鋼は粘り強いため切削には高い技術を要します。用途に応じた最適な材料選びが製品品質を左右します。
主な加工方法と、それに関連する重要な材料特性は以下の通りです。
- 切削加工:被削性や硬度、快削性元素(硫黄や鉛など)の有無
- 塑性加工(圧延・プレス):延性・展性、加工硬化のしやすさ
- 溶接加工:融点、熱伝導率、熱膨張係数による歪みの制御
金属材料は硬度や延性、熱伝導率等の特性により、切削・塑性・溶接などの最適な加工方法が決定されます。
金属材料の種類一覧

金属材料の種類は多岐にわたり、一般構造用のSS400材や、炭素量で強度を調整する炭素鋼、SK材などの工具鋼が鉄鋼の代表です。耐食性に優れたステンレス鋼(SUS304・316)はクロムやニッケルを添加した合金で、高い意匠性を持ちます。
非鉄金属では、軽量なアルミニウムや熱伝導性の高い銅・黄銅(真鍮)、耐熱性に優れたチタンがあり、用途や加工方法、板・型などの形状に合わせて最適な種類を選ぶことが製品品質に直結します。
鉄鋼材料(炭素鋼・合金鋼・工具鋼)の種類

鉄鋼は炭素量で特性が変わる炭素鋼(SS400・S45C等)や、元素を添加し強度を高めた合金鋼、金型用のSK材などの工具鋼に大別されます。用途や熱処理の有無、鋼板の厚み等により最適な材を選びます。
現場で一般的に使われる鉄鋼材料の分類を整理しました。
- 一般構造用圧延鋼材(SS400):最も汎用的な板材・型材
- 機械構造用炭素鋼(S-C材):強度調整が可能で部品に多用
- 合金鋼・工具鋼(SCM・SK材):高い硬度や靭性を持つ特殊材
汎用的なSS材、強度調整が可能なS-C材、高硬度な合金鋼やSK材など、用途に応じた鉄鋼の選択が重要です。
下記の記事では、炭素鋼について解説されているのでぜひ参考にしてください。
ステンレス鋼の種類
ステンレス鋼は鉄にクロムやニッケルを添加した合金で、高い耐食性が特徴です。代表的なSUS304や耐酸性に優れた316、磁性を持つ400系など、金属組織により性質が大きく異なり、用途に応じた鋼板選びが重要です。
主なステンレス鋼の種類と、それぞれの利用シーンを整理しました。
- オーステナイト系(SUS304・316):耐食性が高く非磁性で、最も一般的
- フェライト系(SUS430):安価で熱膨張が小さく、家電や厨房用品に多用
- マルテンサイト系(SUS410):熱処理で硬化し、刃物や工具などの機械部品向き
耐食性に優れるSUS304や316、安価な430、高硬度な410など、組織別の特性理解が重要です。
アルミ・銅・真鍮など非鉄金属材料の種類
非鉄金属は軽量なアルミ、導電性に優れた銅、亜鉛との合金で加工性が高い真鍮(黄銅)など、鉄鋼にはない独自の特性を持ちます。これらは耐食性や熱伝導性も高く、精密機械や電子部品等の産業分野で幅広く利用されます。
主な非鉄金属の種類と、現場での代表的な用途を以下に示します。
- アルミニウム合金:軽量で耐食性に優れ、自動車や航空機部品に多用
- 銅・真鍮(黄銅):導電性や熱伝導性が高く、電気配線や装飾品に利用
- チタン・マグネシウム:高強度かつ超軽量で、医療や宇宙産業、高温環境向け
軽量なアルミ、導電性の高い銅や真鍮、高強度・超軽量なチタン等、非鉄金属は各々の特性を活かし多分野で活躍。
鋳鉄・鋳鋼など鋳造用金属材料の種類
鋳造用材料は、溶融した金属を型に流し込み成形します。炭素量が多い鋳鉄は流動性に優れ複雑な形状の機械部品に向き、鋳鋼は強度と溶接性が高く大型構造物に使用されます。特性を活かした適切な合金選びが重要です。
鋳造に用いられる主な鉄鋼系材料の分類と特徴をまとめてみました。
| 分類(規格例) | 主な特徴 | 代表的な用途 |
| ねずみ鋳鉄(FC材) | 炭素量が多く流動性に優れる。振動を吸収する性質が高い。 | 機械の土台(ベース)、エンジン部品、マンホールの蓋など。 |
| 球状黒鉛鋳鉄(FCD材) | 黒鉛を球状化させることで、高い強度と粘り強さ(靭性)を持つ。 | 自動車部品、水道管、産業機械の主要部品など。 |
| 鋳鋼(SC材) | 炭素鋼に近い性質を持ち、鋳鉄よりも強靭で溶接性にも優れる。 | 強度が必要な大型機械部品、船舶用部品、発電設備など。 |
チタン・ニッケルなど特殊金属材料の用途
チタンやニッケル合金は、極限環境で真価を発揮する金属材料です。チタンは高強度・軽量・高耐食性を併せ持ち、航空宇宙や医療分野に不可欠です。ニッケル合金は優れた耐熱性を誇り、高温のエンジンや化学プラントの部品に使用されます。
これらの特殊金属が活躍する主な産業分野と具体的な製品例をまとめました。
- チタン合金:航空機フレーム、人工関節、化学プラント用熱交換器
- ニッケル合金:ガスタービン部品、航空機エンジン、高温耐食ポンプ
- マグネシウム合金:軽量化が求められるモバイル機器筐体、自動車部品
航空機や医療用のチタン、耐熱性の高いニッケル、超軽量なマグネシウム等、特殊金属は過酷な環境で活躍。
金属材料記号一覧とJIS規格の読み方
金属材料のJIS規格記号は、材料の種類、形状、強度をアルファベットと数字で示しています。一般構造用圧延鋼材のSS400なら、最初のSが鉄鋼(Steel)、次が構造用(Structure)、末尾の数値が最低引張強度を意味します。
ステンレス鋼のSUS304や工具鋼のSK材も、元素の添加量や熱処理の可能性を判断する重要な指標です。これら記号の意味を正しく理解することで、製品の用途や加工方法に合致した最適な鋼板や板材の選定が可能となります。
SS400・S45Cなど材料記号の意味
鉄鋼材料のSS400は一般構造用圧延鋼材を指し、400は引張強度を示します。S45C等の炭素鋼は数値で炭素含有量を表し、熱処理による硬度制御が可能です。記号から製品の強度や加工性を判断することが重要です。
代表的な鉄鋼材料の記号構成と、それぞれの数字やアルファベットが持つ意味を整理しました。
- 最初の英文字:材質(SはSteel、AはAluminumなど)
- 中央の文字・数字:製品形状や合金元素、炭素含有量
- 末尾の数字:材料の最低引張強度や種類番号
記号は材質、形状や成分、強度を順に示しており、これを見るだけで金属の基本特性や性能を判断できます。
ステンレス記号(SUS304・SUS316)の違い
ステンレス鋼の代表であるSUS304は、クロムとニッケルを含み耐食性と加工性のバランスに優れています。一方、SUS316はモリブデンを添加し、塩害や薬品への耐性を更に高めた上位材で、用途に応じた選び方が重要です。
現場で多用される主要なステンレス記号とその特徴を整理しました。
- SUS304:最も一般的なオーステナイト系で、幅広い産業分野の部品に使用
- SUS316:モリブデン添加により、海水や酸に対する耐食性が極めて高い
- SUS430:ニッケルを含まないフェライト系で、磁性があり安価な板材向き
汎用の304、耐酸性の高い316、安価で磁性を持つ430など、ステンレスは成分による特性の違いが顕著です。
アルミ材料記号(A5052・A6061)の特徴
アルミニウム合金は4桁の数字で分類され、板材で一般的なA5052は耐食性と加工性のバランスに優れます。A6061は熱処理で強度を高めた材料で、機械部品に最適です。用途に応じた最適な材料選びが重要です。
現場でよく使われる代表的なアルミ材料の規格と、その主な特徴をまとめました。
- A5052:中程度の強度で溶接性が高く、板金加工に最も多用される材
- A6061:強度が高く耐食性も良好で、構造材や精密機械部品に向く材
- A2017:ジュラルミンと呼ばれ、切削性に優れ高い強度を持つ工具向け材
汎用のA5052、高強度なA6061、切削性に優れたA2017など、アルミは合金系で特性が異なります。
JIS規格と海外規格(ASTM・DIN)の違い
日本のJIS規格に対し、米国ASTMや独国DINなど海外規格は、化学成分や強度の許容範囲が異なります。グローバルな製品開発では、SS400相当材の検索など、国際的な互換性情報の正確な把握が極めて重要です。
主要な金属材料におけるJIS規格と海外規格の対応例を整理しました。
- JIS(日本):国内で一般的に利用される産業規格
- ASTM(米国):航空宇宙や石油化学分野で世界的に影響力が高い規格
- DIN(ドイツ):欧州機械設計の基準となり、EN規格へ統合が進む規格
国内のJIS、米国のASTM、欧州のDINなど、規格ごとに成分や許容値が異なるため、互換性の確認が重要です。
金属材料の価格と単価の決まり方

金属材料の市場価格は、鉄鋼やアルミニウム、銅といったベースとなる地金相場に、ニッケルやクロム等の添加元素のコスト、さらに圧延や熱処理などの加工賃が加算されて決定します。
SS400のような一般的な炭素鋼と比較し、SUS316やチタン合金などは希少な元素を含むため単価が高くなる傾向にあります。また、製品の形状が板材か丸棒か、あるいは小口注文か定尺購入かといった流通形態によっても価格は大きく変動します。
金属材料単価が変動する仕組み(相場・為替・需要)
金属材料の単価は、ロンドン金属取引所(LME)などの国際相場や為替変動、産業界の需要バランスに大きく左右されます。特に鉄鋼や銅、ニッケル等の原料価格に加え、エネルギー費や物流費も製品価格に反映される仕組みです。
相場変動が激しい時期に、仕入れコストを抑制するためのポイントを整理しました。
- LME相場の注視:銅やアルミニウムなど非鉄金属の国際取引価格の動向確認
- アロイサーチャージ:ステンレス鋼等に含まれるニッケルやクロムの価格連動制
- 為替予約と在庫管理:円安局面での輸入材コスト増を見越した早期発注や在庫確保
国際相場や為替、合金成分の価格連動制を注視し、早期発注や在庫確保でコスト増を抑制することが重要です。
鉄・アルミ・銅の価格推移の特徴
鉄鋼材は建築や自動車向けの需要に左右され、アルミニウムや銅は国際相場や為替の影響を強く受けます。特に銅は電気自動車等の先端分野での利用拡大により、非鉄金属の中でも価格変動が激しい傾向にあります。
各材料のコスト変動における主な要因と、それぞれの特性を整理しました。
- 鉄鋼(SS400等):粗鋼生産量や鉄鉱石価格、大規模インフラ需要に連動
- アルミニウム:精錬に要する電力コストや自動車の軽量化需要が影響
- 銅:世界的な供給状況や、脱炭素関連の電化製品向け需要増で高騰しやすい
鉄はインフラ需要、アルミは電力費、銅は脱炭素需要に連動。各材料の特性が市場価格の推移を左右します。
切板・丸棒・パイプで単価が変わる理由
金属材料は形状により製造工程が異なり、圧延される板材より、鋳造や引き抜き加工を要する丸棒やパイプは加工コストが高く単価も上がります。鋼材の種類や流通量に加え、切断方法や削り代の有無も製品価格を大きく左右します。
形状ごとの製造コストや流通性の違いを、主要な材料別に整理しました。
| 形状 | 価格傾向 | 特徴・主な要因 |
| 板材・鋼板 | 最も安価 | 流通量が非常に多く、定尺サイズでの購入がコストを抑えるポイント。 |
| 丸棒 | 中程度〜高め | 切削加工用として一般的だが、小径のものや特殊合金は単価が上がる傾向。 |
| パイプ・型鋼 | 割高 | 製造工程(鋳造・引き抜き等)が複雑なため、同重量の板材より単価が上昇。 |
歩留まりとコスト削減の関係
金属材料の加工では、定尺の鋼板や材から製品を切り出す際の歩留まりがコストに直結します。削り代の最小化や端材の有効利用により、高価なステンレスや銅、アルミニウム等の材料費を大幅に抑えることが可能です。
加工コストを最適化するための具体的な実践方法を整理しました。
- ネスティングの最適化:板材からの切り出しレイアウトを工夫し端材を削減
- 定尺材の選定:製品サイズに最も近い規格サイズの鋼板や丸棒を選択
- 設計段階での見直し:加工代を考慮した形状設計で材料の廃棄ロスを抑制
ネスティングの工夫、最適な定尺材の選択、ロスを抑えた設計により、高価な材料の廃棄を減らしコストを抑えます。
見積り時に考慮すべき材料費のポイント
金属材料の見積りでは、SSやSUSなどの地金単価に加え、削り代を含む総重量の計算や熱処理による歪み対策費も考慮が必要です。特にニッケルを含む合金鋼は相場変動が激しいため、最新の市場情報を確認しましょう。
正確な見積もりを算出するために見落としがちなコスト項目を整理しました。
- 重量計算の精度:製品寸法ではなく、加工前の素材寸法に基づいた材料重量での算出
- アロイサーチャージ:ステンレス鋼など合金元素の価格変動分を反映させる条項の確認
- 最小発注単位と端材費:少量注文時に発生するチャージ料や歩留まりによるコスト増
素材重量での計算、合金の価格連動制、少量注文時のチャージ料など、実質的なコスト要因の把握が重要です。
下記の記事では、金属加工の見積もりの構成要素とコストを抑えるポイントについて解説されているのでぜひ参考にしてください。
リョーユウ工業にご相談ください
リョーユウ工業では、主にシャーリング(切断)加工、タレットパンチ加工、プレーナー加工、レーザー加工、曲げ加工、面取り加工、溶接加工を行っています。塗装に関しても協力会社を通じて対応することが可能です。
リョーユウ工業の技術
リョーユウ工業は、年間50,000件もの加工実績があり、幅広い素材や形状に対応できることが強みです。また、最新の設備を導入しており、高精度な加工が可能です。さらに、小ロットから大ロットまで対応できるため、様々なニーズに対応できます。
- シャーリング(切断)加工
- タレットパンチ加工
- プレーナー加工
- レーザー加工
- 曲げ加工
- 面取り加工
- 溶接加工
他社で断られた案件でも、リョーユウ工業なら解決できるかもしれません。リョーユウ工業に依頼しても駄目なら他でもできない最大の信頼をもらえる会社を目指しています。
金属材料まとめ
金属材料は、種類・特性・規格を理解することで正しい材質選定が可能になります。この記事では材料分類、記号とJIS規格の読み方、価格の決まり方、見積りの考え方、各種試験と品質保証までを体系的に整理しました。基礎知識を身につけることで、加工トラブル防止とコスト最適化につながります。
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